おしらせ

森を守る無垢杉「レンタル床」サービス開始!導入第1号は社会問題の解決に取り組む認定NPO法人フローレンス!

2015年5月29日、認定NPO法人フローレンスに東京・森と市庭の「モリユカ・レンタル」を採用いただきました。 「モリユカ・レンタル」は、91cm×25cm の無垢スギのパネルを1枚81円/月 (税抜) でレンタル提供するもので、導入コストを最低限に抑えながら香り高い無垢床を実現します。 戦後最大の森林量がありながら、それが使われないことによって荒廃が進む森の現状。一方で、都心ではツルツル・テカテカの無機質なフロアが広がり、自然とはかけ離れた状況。都心でもっと手軽に無垢床を使ってもらえたら・・そんな想いから作られた「モリユカ・レンタル」。その思いにいち早く賛同して導入いただいたのがフローレンスさんです。 カーペットタイルの上に置くだけでフローリングが実現できるその手軽さから、施工作業にはフローレンス・スタッフのみなさんにもご参加いただき、みんなで温もり空間を作り上げました。 そして6月24日、フローレンス飯田橋オフィスにて、フローレンス代表理事の駒崎弘樹氏と、東京・森と市庭代表の竹本吉輝が、「東京の森の再生と、これからの木育」と題し、対談を行いました。 以下、その対談の内容をご紹介します!
 
木質化したフローレンスオフィススペースでの対談風景

木質化したフローレンスオフィス内スペースでの対談風景

 

【フローレンス代表理事・駒崎弘樹氏 × 東京・森と市庭代表・竹本吉輝 対談】 ~東京の森の再生と、これからの木育~

駒崎: みなさんこんにちは。今回こうして木質化されたお部屋で竹本さんとお話できるっていうのは大変喜ばしいなって思います。ここはもともと、超殺風景でまさに「オフィス!」っていうところだったんですけれど、この床を敷いたことでみんなが安らげるスペースになりました。今日はこれがどういうような意義、意味とつながっているのか、そしてこれからどんな風になっていけばいいのかっていうことをぜひ議論させていただけたらって思います。よろしくお願いします。 竹本: みなさんこんにちは。森と市庭の代表の竹本と言います。ほんとに、ご利用ありがとうございます。(笑) 1月末のあのシンポジウムの場で話をしていたのが、こうやってほんとに敷いてもらって、駒崎さんとこうやって話できるのは嬉しいです、はい。あの今日は2人の対談っていうより、みなさんにもぜひ感想を聞きたいですし、この時間を有意義に使わせてもらったらと思いますので、よろしくお願いします。
ビデオが流れる。奥多摩の森が映し出され、急峻な地形での伐採が行われるシーンに「おおー」の歓声。工房での加工シーンの後は、フローレンスの会議室で職員のみなさんが自ら床を楽しそうに敷いている施工イベントの様子が映されると、「いい笑顔!」、「いいですね、この映像!」などの声が聞こえる。
駒崎: おー、なるほど~。いいですねえー! 竹本: いいでしょう? 駒崎: 今見ると余計に以前のオフィスが殺風景に見えますね。以前のオフィス、よく思い出せないですけど。 竹本: ビフォー・アフター、のビフォーにもう戻れない。 駒崎: 戻れないですね(笑)。以前私がシンポジウムで聞いた東京の森の話がとても良い話だったで、そのお話をもう一度していただいていいですか? 竹本: 東京の森だけでなく日本の森全体に言えることなんですが、日本の森の木は戦前と戦中期にほとんど伐られてしまって、戦後に拡大造林と言って国で一生懸命植えたんですね。さきほど映像にあったスギやヒノキの森って全部人が植えて作った森です。30年後とか40年後を見据えて植えたわけですけど、その後都市化が急速に進んで。まだ日本の木は建材として出せるまで育っていなかったので、どんどん外材を輸入したんです。これは産業保護が足りなかったとか、日本の林業を見捨てたとかということではなくて、近代化都市化することが国家的に最優先だったので、それを進めていったということなんですね。もう今のTPPの議論のはるか昔に木材は輸入自由化されていたわけです。それで安い外材いっぱい入ってきた。 しばらくしてようやく日本の森の材が育ったとき、マーケットを見ると、かつて木で作られていた身の周りのものが、プラスチックや鉄やアルミに代わってしまっていたんですよね。木を植えた時は、建物も、建具も、家具も、建物を作る時の足場でさえも、全部木だったのに。つまり、外材がものすごい勢いで入ってきたところに加え、マーケットの需要総量が減退し、そこへようやく育ってきた大量の国産材が投下されようとするとなると、もう出口がないっていう話になっちゃったわけです。 駒崎: なるほど。 竹本: ちゃんと商品となる木だったらまだいいんですけど、その一歩手前の、もう1回か2回間伐しないといけない森の木は、光がなかなか入らないので太れないんですよ。そうすると細いまま風や雪で倒れてしまう。放置林って言いますけど、ほっとくと「手遅れ林」になるんですね。 日本人って木が大好きなので、一人あたりの木材輸入量は世界でもトップクラスなんです。海外の木をどんどん輸入して、一方で日本の木は使われずにどんどんだめになっている。だから、まずはこの使われてない木をちゃんと使うっていうことですね。「木を使うともったいなくないんですか」ってよく聞かれるんですけど、空間の光の量に対して木の材積っていうのは相関してるので、ちゃんと伐って空間が広がって、光が森に入り込むようになれば木は太ってくるんですよ。だからまず、使われていない木を使う。そうすれば、いい森を育てられる。そして、海外で無駄に、安価に伐られている木を伐らなくて済む。こうやって多くの問題が解決できるわけですよね。 じゃあなんで使われないんですかっていう話になるんですけど。日本の森はものすごく急峻な地形で、木を伐って出すまでのコストが高いんです。スギ1本、まあ仮にですけど1万円で売ったとして、経費を差し引いたら、山主さんにいくら戻ってくると思いますか? 駒崎: まあ、一万円だったら千円くらいは欲しいところですよね。 竹本: 東京の森だと、いろいろを平均すると・・50円くらいなんですよ。 駒崎: 50円!? (会場ええー!?) 竹本: 52円って言ってたかな?正確には。50年生の木です。 駒崎: ひどいな。 竹本: 50年生の木で、50円。ってことは、1年見守って、1円にしかならないっていうことです。木の値段が下がり続けた中で、ちゃんと山に手入れをしたり道を入れたり、木を安く出すしくみが作れなかったんですよね。だから僕たちは、木を適正な値段で買っていただいて、それと同時に、森から木を出すための努力をしっかりやって、森の空間の価値を高めていくことをしていかないといけない。そうしないとさっき言った「このまま放置してダメになる」、「今後未来に向けて育っていくであろう木までダメになる」、「海外のいい森をどんどん伐ってしまっている」というのを止められないんです。とにかく今は、まだ細くて柱には使えない木だったり、金額が高くは売れない木をていねいに使っていこうということで、森と市庭の事業をやっているんですね。 そうすると柱とかじゃなくて、板がいいんですよ。柱を取るにはある程度の太さが必要なんですけど、こういう板だったらそれほど太くなくても取れるので。しかも通常のフローリングだったら2mとか3mの長さでまっすぐじゃないといけないんですけど、このレンタル床だったら長さがそこまで必要ないので、途中で曲がってたりとか、真ん中に大きな節があっても使えるわけです。 僕らよく言ってるんですけど、東京の都市空間と森林空間はシンクロしてる。森が暗くてさみしいのは、都市空間が荒涼としていて、無機質で、ツルツルテカテカだからだと思っていて。都市空間にこういう無垢な、柔らかい、優しい空間が増えてきたら、森には光が入って、すごくきれいな優しい空間になる。これ、鏡だと思っているんですね。 駒崎: そうですね。それと花粉症の話あったじゃないですか。あれすごく目からうろこで。 竹本: 奥多摩に来てもらうような機会があったら、ぜひその手前の「御嶽」の駅で山側を見てみてください。全部はげ山になってますから。皆伐されてます。これって花粉対策事業っていう、杉を「害」とみなして一本でも減らすために全部伐ってるんですけど。全部伐ったらそれは花粉を出す杉がなくなりますから花粉症はなくなりますけど、関東平野全体のすべてに、杉が大量にあるわけですから、東京都の一部をはげ山にしたところでほとんど変わらない。 杉はそれよりも、室内の空間に使うことを考えたほうがいい。調湿性と調温性と付着性が高まるので、室内空間で花粉が舞いにくくなります。花粉だけじゃなくウィルスも舞いにくくなる。ツルツルテカテカな、いろんなものが撒布しやすい空間でエアコンをつけまくってるから、みんなで仲良く風邪をひくわけですよ。杉を伐るというんだったら丁寧に空間の中に使ってくほうが、花粉症対策事業としてはいいですよね。 それと、生き物が込み合った状態に置かれているから、自分の遺伝子をたくさん撒こうとするんですよ。間伐が行きわたった、美しい空間で、ゆっくり、ゆったり育っていれば、一生懸命に花粉を撒かなくていいわけです。 駒崎: なんかエコシステムですよね。ほんとにね。僕らは普段子育て支援をしていく中ではあんまりエコとか、木材には関わってきてなかったんですね。だからお話聞いて、日本の森を救うためにはちゃんと木を適切に使って行かなきゃいけないんだってことがわかりました。それと同時に、保育の現場において、木って優しいし、見た感じもいいし、子どもにとってもいいし、どんどん使って行きたいと思って。ただ、やっぱり木って高いから・・あの・・。 竹本: 安くない。ね。はは。 駒崎: 保育園で全体的に木質化すると、結構工事費がすごいことになるんですよね。高根の花だったと。でもそれがレンタルできるんですよと聞いて、あ、その発想はなかった、借りればいいんだって思って。おそらくスタッフも気に入ってるんじゃないかと思っているんですけど。どう?別にまあ、ダメ出しでもいいし(笑)。どうですか、じゃ橋本さん。 橋本(フローレンス・スタッフ): そうですね。すごくまず木の香りが。リラックスみたいなのが一番初めに感じたことで。実際にここらへん(敷いた床の上)でよくミーティングとかもしてるんですけど、みんなここに座って、すごくリラックスしてる感じで。すごく雰囲気良く感じますね。会話もなんか、柔らかくなるし、いいなあって思います。 駒崎:  なるほどー、あと実際に木育シンポジウムにいた森下さんは? 森下(フローレンス・スタッフ): 暖かい感じというか。あそこの部屋(隣のミーティングルーム)も、入った瞬間、今までは重い話するときの怖い部屋だったんで(笑)、あそこが木になったおかげでそういう気持ちがすごく減って、おだやかな気持ちで話し合いに入っていけて、いいなって思います。 駒崎: こんな感じでなんか結構好評なんですけど、最初言いだした時は、またなんかあの代表ワケわかんないこと言いだしてるみたいな・・結構そういう空気があって。この忙しいのになんなんだ的な、ね。(笑) 竹本: 実際に木を使ってもらう、あるいは木に触れたり、見たり、香りを楽しんだりっていうのは、奥多摩の現場に来てもらうとより一層感じられるんですね。森見てもらって、触れてもらって、最後に間伐体験とかしてもらうと良いと思います。この床の木がいいなって思ってくださったんであれば、なおのことお越しいただきたい。森と都市はシンクロしてるということに、すごくリアリティ持ってもらえると思います。 駒崎: 何かこれがもともと生き物だったって、なんとなくつながらないですもんね、普通に生きていると。 竹本: やっぱり、見ていただいているとおり、(床が)空いたりとか、ずれるじゃないですか。木って伐っても生きているので、水を吸って吐いてるんです。多分皆さん、ご自分で敷いてくださったので、ちょっと反ったり隙間出ても許していただけるんじゃないかと。これがもし大工さんによる施工で、どこの森の材かもかもわからず、木自体も無垢じゃなくて加工とかしてあったら、多分100点じゃなかったら許せなくなると思うんですよ。木って生き物なので、それが夏と冬とで、表情が変わるのは当然のことで、そういうことも(自分で敷くと)分かってもらえますし。 駒崎: そうですよね。まさに、みんなで作ったっていう感じが大事かなって思っていて。みんなで作ったから、こう多少何かあっても、「まあみんなで作ったし、いいよね」っていう感じになりますね。与えられると、マイナスが飛び込んでくるということになりがち。 竹本: 「ここ、もうちょっとどうにかなるんじゃない?」みたいな。 駒崎: 「業者、大丈夫?」みたいな。結構、それって保育とかもそうでしてね。うちは親御さんからお金をいただいているので、親御さんはビジネスでいうところのお客さんなんですね。でも、お客さんと考えた瞬間に、「お客様は神様です。」みたいに何でも言うことを聞かなければいけなくなるわけですね。それって保育にとっては、必ずしもいいことではなくて。子供にとっていいことをしなくてはいけない。でも、親にとってのいいことと、子供にとってのいいことっていつも重なるわけじゃないから。だから親御さんは、パートナーであったりとか、クルーであったりしてもらわないと困るんですね。なので親御さんをクルーとして認識して、親御さんもかかわってもらうっていう保育の形を作っていきたいって、ずっと思っていまして。 竹本: ほんとそうですね。森のこととか、木のこととか、話として聞けば「なるほど、そういうことも考えていかなくちゃいけないな」って思いますけど、たとえばちょっと満員電車乗って、地元の焼鳥屋とか入ったら忘れちゃいますよね、必ず。だけど、ほんとに主体的に関わってしまうと、そこはもう見過せない、「自分ができることがある」ことを「知ってしまった」みたいなのってあるじゃないですか。世の中っていろんな問題があるんだけれども、自分が関われて、自分が変えられるって知ってしまった、みたいな。その関わり方は、事業であったり、社員であったり、購買者であったり、あるいは投資家としてだったり。 駒崎: そうですよね。今回ここで実験的に床を敷かせていただいて、すごいいいねという話が聞こえてきているので、今後は保育の現場とかにも導入していきたいなと思っています。一方で森と市庭さんとしては、今回こういう実績ができて、今後はどんな感じで広げていきたいとかあるんですか? 竹本: そうですね。奥多摩や他の地域もそうですけど、その地域の森の面積や間伐量、製材量とか、要は「商品化する能力」みたいなものを考えた時に、大体その一地域で賄えるのって、すごくざっくり言ってしまえば、六本木ヒルズのワンフロア分だったりするわけですよ。 駒崎: そうなんですか? 竹本: もちろん地域によって異なりますけど、地域の森を継続的に手入れするミニマム必要な量、がゆえに地域側で現状出せる量って、六本木ヒルズのワンフロアくらいなんですね。てことは、毎年ワンフロアずつ木質化していくと、50年その地域の森が整備されて、人が雇用されて、空間が豊かになっていくんですよね。そう考えたら、東京の床って無限だと思いません?東京が少しずつこういう優しい空間に変わっていけば、地域ってほんとに丁寧に木を出せるんですよね。ものすごい補助金をつけてものすごい建物を全部と言う話になると、また森が全部禿山になるんですけど。 駒崎: 六本木ヒルズワンフロアっていうとできそうな気がしますよね。 竹本: できそうな気がしますよね。あともう一つは、やっぱり子育てと森ってすごく親和性があると思っていて。木って先達がいないと、そもそも誰か植えてくれる人がいないといけない。木って植える時点で自分で収穫すると思ってませんから。 駒崎: 次世代ですよね? 竹本: そうです。それと、これって上まで枝がないのがわかりますか(人工林の写真を指して)? 駒崎: はい。 竹本: これって、枝打ちっていうのを、細くてちっちゃな頃に生えてきた枝を切っているんですよね。枝がいっぱいあると、そこが全部落ちたり、曲がったり、腐ったり、そこが節になって、建材として使えなくなっちゃったりするんですね。だから、小さな頃にやっぱり手をかける、愛情を注ぐことがすごく大事なんですよね。 駒崎: なるほど。 竹本: やっぱり未来文脈であるということ。美しい森を美しい森にするためにしているんではなくて、森があるってことは、その周辺集落の営みが続いているということですし、多分そこに住んでいる人は、その集落に未来があるって感じているってことですね。だから森って、存在している時点で、過去がないと今がないですし、今美しい風景があるということは、その土地に未来があることをみんなが期待していることの総和なんですよ。それって子供とほんとに親和性が高いじゃないですか?お子さんがいる、そういう現場ではより多く使ってもらいたいっていう気持ちはとてもあります。 駒崎: そうですね。それに森は生物の多様性も内包するというか、森があるからこそ生物が生きられるというところがあると思うので、非常に大事な機能になっていて。僕らも多様性というのを非常に大事にしている組織なので、いろんな多様性を組織内に持ち込んでいきたいと考えていて。そう考えると森みたいな組織を作れたらいいだろうなと感じています。
 

”森を育てることは子供たちの未来を育てること”

都心の暮らしの中でもっともっと木が使われて、森にたくさん光が入れば、これまで想像もできなかったような明るい暮らしが実現出来るかもしれませんね。 東京・森と市庭は今回ご紹介した「モリユカ・レンタル」の他、これからも東京の森の材を使ったさまざまな製品をご紹介してまいります!   モリユカ・レンタルのお問合わせは下記まで。 株式会社 東京・森と市庭(いちば) 〒185-0034 東京都国分寺市光町2-1-25 TEL: 042-843-0130   FAX: 042-842-0160 email: info@mori2ichiba.tokyo.jp  
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